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今週の政治、6月2日

戦後60年余りを過ぎて、日本も大きな分岐点に差し掛かってきたようである。今週はそんなところから話を起こしていきたいと思う。戦後50年は、右肩上がりの時代が続き、「努力すれば頑張れば必ず今年よりも来年は豊かな暮らしが待っている」皆がそう信じて頑張ってきた結果、本当にそのような豊かな社会になってきた。またたくまに経済大国に成長したのである。

しかし、平成2年~3年を境にして、バブルが崩壊し世の中は180度転換、右肩下がりの時代になってきた。予想できなかったインフレからデフレ社会への転換である。我々経験したことのない社会の出現である。インフレ基調社会とデフレ基調社会とでは価値観が全く変わってしまうということである。

何が変わったかというと、まず人の心が変わってしまった。我々の小さい頃は、親は子供にお腹一杯ご飯を食べさせたいと思って一生懸命に働いてくれた。その姿を子供心に見て、大きくなったら親孝行しなければならないと心に誓ったものである。親たちが頑張ってくれお陰で、そう多くの時間をかけず皆が望んでいたような豊かな社会へと発展した。

ところが、目標を達成したはずなのに、お金さえ出せは、ほぼ何でも買える豊かな世の中になったはずだったのに、人々の心が何故か荒んできたのである。貧しい頃は、肩を寄せ合って助け合って暮らしてきたのに、豊かになると家族の絆が希薄になり、最近では考えられない恐ろしい事件が頻繁に起こり、親が子を殺し、子が親をないがしろにする。自分さえ良かったらいい。他人のことなんかどうでもいい。ただ儲ければいい。儲けるやつが正義なんだという変な風潮が蔓延してきた。

上司は部下の面倒をみなくなり、部下も上司の言うことを聞かなくなった。その意味からも、日本の社会は大きな分岐点に差し掛かっています。このままで行くとそう遠くない時代に日本は滅びるかもしれない。そんな恐ろしい予測も出てきているくらいである。自分さえ良かったらいいという考え方が充満した結果は、自分も含め皆が滅んでいくことになるとは、皮肉な話しである。

これは日本限らず世界の風潮とも言える。まずただ儲ければ言いという典型は、際限なく高騰する原油価格に象徴されている。物の値段は、需要と供給のバランスで成り立っている。買いたい人が多く、売りたい人が少ないと物の値段は上がる。身近な例では、天候の不順か何かの理由で農産物が不作な時は、値段が上がるので良く分かる。しかし、今の原油の需給バランスは取れているのである。だからこんなに価格が高騰することはそもそもおかしいのである。

今や世界の富は、産油国と巨大投資機関に集まっている。原因はオイルマネーである。富が一所に集まると、経済は歪になって行く。地域間格差・所得格差・国格差・の発生である。現在の世界のエネルギーは、石油にその多くを委ねている。エネルギーの元である原油を国内で掘り出せる産油国は当然力が強くなる。それで得た巨万の利益は巨大な投資資金となって、利の臭いがするところに土石流のように流れていくのである。

ある時期、巨大資金はアメリカに集まった。そして9・11テロを境にして、一時期欧州に流れたのである。その一部が日本にも外国人投資として流れ込み、株価をじわじわと押し上げたのである。巨大なオイルマネーはこのように利を求めて世界を駆け巡っている。やがて一時の不景気からアメリカは立ち直ったのである。景気が良くなると、アメリカの人々は個人消費にお金を使う民族なのである。日本と違い狩猟民族は、獲物を取った時にしっかりと食べておかないと、獲物が取れない時があることを体の中で知っているのである。人間にとってのステータスは、食住衣と決まっている。どうしても住宅を購入したくなるのである。

そこでアメリカでも一大住宅ブームが起こったのである。これは日本のバブルの時の雰囲気と本当に良く似ていた。それまでのアメリカは、所得の高い人しか住宅ローンを借る事が出来ませんでした。これをなんとか緩和して、幅広い人たちに住宅を持ってもらいたいと考えたのでした。

そこで考えらされたのが、所得の低い人でも、これまでに他のローンを延滞した実績のある人でも借る事が出来る住宅ローンが生まれたのである。これがサブプライムローンというものである。しかも数多くの得点を付与したのである。それは3年間据え置きするということと、その間の金利を極端に低くするというものであった。しかし3年過ぎると金利は高くなるし、返済金も発生するので、借主の収入ではとっても返済が出来ないという住宅ローンも出てくる。

それではどうするのかというと、3年間の間に、どんどん住宅の価格が上昇して、売りに出すとローンを完済した上でいくらかのお金がその手に入るという住宅バブルの状態であったから、返済能力のない借主でも、3年間のうちに売り抜ければよかったのである。

普通考える住宅ローンは、金融機関が集めたお金で住宅ローンを貸し、貸し出しから完済される30年もの間、管理を金融機関がするというのが常識である。これでは資金の回転が鈍いので、余り多くを住宅ローンにまわすことが出来ない。だからそんなに多くの人たちに貸すことができないのであった。

しかし、ここで金融商品の画期的な方法が考え出されたのである。融資した数多くの住宅ローンを一箇所に集め、所得の多い人の住宅ローンも、(これをプライムローンという)問題のサブプライムローンも一緒にして、それを投資家に持分を分割販売するという手法でした。これを債権の証券化といいます。しかもその評価はトリプルAであった。
これであれば、融資した住宅ローンを金融機関は証券会社に売ることにより、莫大な手数料を得るほか、その資金も得ることが出来、それを新たな住宅ローンの融資にまわすことが出来るのである。もっと多くの人たちに住宅を持ってもらうことが出来ると同時に、金融機関が多くの収益も稼げるのである。だからどうしても、審査が甘くなる。これをリスクハザードという。これは最も避けなければならないことである。

これを買った証券会社は、小口に持分で販売することによって、手数料という利益を得ることが出来る。しかもトリプルAの評価だから世界どこの国でも買ってくれる投資家がいる。その中には、巨額を投資する企画投資かもいる。買った各投資家も、毎月利益を得ることが出来るから三方良しのシステムであった。

ところが、アメリカの景気が頭を打ち始め、住宅バブルが崩壊したのである。この三方良しのシステムが根本から崩れた。証券の価格が下落した。早期の損切りを考え、我先にと売りに出した。それが更なる下落をもたらした。これまでアメリカの住宅ローン債券を買っていた大手機関投資家の、(それを売却し手元に戻った)巨額の資金が一気に原油になだれ込んだのである。ここに需給をこえた価格上昇が起こったのである。儲ければいいの考えの最たるものである。これによって日本はもとより世界の景気は大きな影響を受けることになるのである。

今年の経済成長率は政府は2%を目指しているが、これは少々難しいと思われる。原油価格の上昇は、材料費の高騰につながり、物価上昇に繋がる。企業収益に圧力がかかり、経済成長率を押し下げる大きな原因ともなる。オリンピック後の中国の景気も少し足踏みするのではないかと思われるし、アメリカの景気も先行き予断は許されない状況である。

昔から政治は経済の一歩先を走るのが原則といわれている。日本は経済は一流、政治は三流といわれているが、三流といわれている政治でも、一流といわれる経済の一歩先を走ることに違いはない。今、政治は混迷している。肝心なことがなかなか決められない状況である。世界がこんなに変動している時に、国内で政治が膠着していると、ますます世界から遅れをとってしまうのである。政治のまずさの一つが、昨年の6月から施行された、改正建築基準法でした。建築士の偽装によって、もっと完璧な管理をしようということになり、改正された趣旨は正しいとしても、その運用が余りにも硬直的で、建築業界だけでなく多くの業界に多大の影響が発生した。このために、07年の経済成長率は0.6%も下ったのである。
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